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建築設計事務所ヒロシの書評?読書感想です^^
on 2011年12月14日水曜日
ラベル:
チャールズ・レニー・マッキントッシュ
HILL HOUSE1
「この椅子って座る椅子?」
「そりゃ、もちろん座る椅子じゃないよ! 服かけるもんだヨ!」
「何、座ってんだよ・・」
って、こんな会話を記憶している。
確か、前職・堀池研究所で、同僚の山田か、おぐちゃんに言われたような。・・椅子って座るものなのに変な会話だね。 でも、実際見ると理解できるはずです。 最初にこの椅子に出会ったのは、その会社の面接で行った、その日。事務所は、マンションの一室なのですが、玄関の扉を開けると、部屋は白く塗られていて、ほぼ正面で、まずはこの椅子が、黒いスレンダーの体にに緑ののベルベットのビキニの姿で、出迎えてくれるのでした。 もちろん、そのシチュエーションでも、明らかに、客を出迎えるための、観賞用椅子という雰囲気であった。 入社し、しばらくするると、環境にも慣れてきて、・・・というか、何年か年月も経て、少し疲れてきた時期、打合せの合間に、なんとなく疲れて、か弱そうなその椅子に、少し腰をかけ、ボーとしていたときの、会話だったように思う。 それで、この椅子は、「座る椅子?服をかけるいす?」
たぶん、どっちも正解なんじゃないかな?
でも「座る椅子」と見れば、とっても、心地よいと座れた感じではない。「座ることもできる・・椅子」って感じ。
何せ、見た目から、弱そう。ダーンと疲れたー!なんて座ったもんじゃ、ドリフターズのずっこけよろしく高い背もたれが、バッキ!!って折れそう!!・・・それほど細く華奢に感じるプロコーションとディティールだ。強度はちゃんと考えてるでしょうが。
さらに、座面は台形で背の方が狭くなり、細いハイバックがまっすぐ降りて、足となっている。どうも安定した形とは見えない。ダーンと疲れたー!って、背が折れなくとも、そのままハイバックもろともバーン!って、後に倒れそうです。これもドリフでありそう。
座面そのものも、ちょっと低い感じがするし、座面も台形のため小さい。部材も細く、さらに重量も軽い。で、絶対どーんとは座れない、というより、そんな気分には決してなれない。見れば、そーっと座って、楽しむしかないのだ。 じゃ「服をかけるいす」ともいえる。ハイバックだから、コートなんかかけておくにはいいよね。デモね、軽いから、背側から、つまり椅子の背後からかけると、軽くて、ハイバックで重心が背側にあるので、ちょっと思いコートなんかだと、倒れちゃうかも。 座側から、かける?それじゃかっこ悪いし、そもそもコートなんか掛けるか?ジャケットならハイバックでなくてもいいだろ。
それじゃ、女性のワンピースがお似合いかな? なるほど、実は、この椅子、ヒル・ハウスの寝室に置かれてるって、こういうこと?ジェームスボンドよろしく、女性のワンピースを投げてこの椅子にかける! ヒル・ハウスとは、この椅子をデザインした建築家チャールズ・レニー・マッキントシュが設計した有名な住宅。この椅子名前もヒルハウスだから、きっとこの住宅、そのインテリアの一部としてデザインされ点であろう。 そのヒルハウスで、この椅子は、寝室に置かれてある。
まあ、「ワンピースをかける椅子」というと、寝室がお似合いであるのだが、・・しかし、ハイバックの格子状のデザインは、ヒルハウスの窓辺のデザインと僕のイメージはダブっていた。
ヒルハウスの窓の格子のシルエットと、この椅子のハイバックのシルエットがダブルのである。これを書きながら、改めて写真を見ると、その窓辺にはこの椅子はなく、寝室にあったのだ。 もう一つ、この椅子が喚起させるイメージがある。摩天楼だ。
この椅子の影響を受けてデザインされたのが、磯崎新がデザインしたモンローチェアー。背の部分を、マリリン・モンローの体の曲線をかたどったモンローカーブなるもので、かたどったものだ。もちろんマリリン・モンローを実測したものでなくて、磯崎氏がモンローの写真から適当に『取ったものですが・・改めて確かめると「空間へ」p344「マリリン・モンロー様」で確かにそうだと。 こんな椅子もあり、当時は、結構この椅子に影響を受けた人も多かったように思う。堀池氏もその一人で、やはりハイバックチェアーを独自でデザインしていた。彼はそれを摩天楼になぞらえ、摩天楼のシルエットと彼のデザインした椅子のシルエットを重ねて、イラスト化し、確か会社案内などで使っていたように記憶している。このようなことも、この椅子が、僕に、摩天楼を思い出させる要因の一つであろう。
しかし、この椅子からイメージされる摩天楼とは、ツルツル・ピカピカの摩天楼ではなく、アールデコ調のこてこての摩天楼だ。そう、エンパイヤー・ステート・ビル、クライスラー・ビル、ロックフェラー・センターってやつ。小さな窓は、果てしなくポツポツついている古典的高層ビルだ。あの背の格子状の感じ、特に頭部は縦の格子が加わって、ビルの頭の様じゃないですか。 さらに連想ゲームはつづき、この椅子とアールデコ調の摩天楼というと、レム・クールハースの「錯乱のニューヨーク」の挿絵を思い出す。確か、こんなぽちぽち窓の高層ビルが擬人化されイラストとなっていた。 こちらも記憶があいまいなので、もう一度見直すと、「何と、キング(エンパイヤー・ステート・ビル)とクイーン(クライスラー・ビル)が、ベッド寝ているではないか!」。
ということで、連想ゲームの果ては、
「ベッドの横で、ワンピースでも、引っ掛けておく、椅子!」
とでも言うところか。
いやいや、こんな椅子で、これまで連想できるってことは、
「禅問答のために、緊張の面持ちで、そっと座る、椅子!」
かな。
HILL HOUSE1
下はリプロダクと製品。
価格も、正規品に比べると、1/3から1/10。写真の拡大部分を見ると、脚が随分太いのに気が付きます。たぶん、木の材質も違うし、ディティールの丁寧さも違うのでしょう。
低価格になれば、なるほど、どこか、やっぱり違うので、リプロダクと製品は、そういうものだと割り切って購入すべきでしょうね。
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