BARREL

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COONLEY,1 iconのような重厚感と繊細さを併せ持つ椅子は、プレイリーハウスによく会う椅子として、それなりにライトらしい。
しかし、なんとなく、もっと「こてこて」のイメージがあるのだ。
手元にあるもう1冊
「フランク・ロイド・ライト回顧展(1991年カタログ) フランク・ロイド・ライト回顧展実行委員会 」
を開く。
ありました、旧帝国ホテルの椅子。それと旧帝国ホテルの宴会場と椅子の写真。


どうも、ここら辺が、頭の中に、私の頭の中にこびりついているらしい。
それと、どうも赤・青の色で鮮烈なミッドウェイチェアのイメージもある。が、Caccina社で、もかつて販売していたようであるが、現在は販売していないらしい。
ここで、もう一つ、僕的な発見があった。
どうも、この帝国ホテルやミッドウェイガーデンの椅子は、ライトのデザインが過渡的な時期の椅子なのであるのではないか。
前半のプレーリー期のデザイン、そして、後半のユーソニアン・ハウスの時期になるのであるが、帝国ホテルやミッドウェイガーデンはその中間に位置する。
椅子のデザインも同様で、重厚で繊細、古典的デザインから、板材で構成された、スツールや椅子になる。よりシンプルな構成に向かっているのだ。
私のライトのイメージの椅子とは、この二つの間に挟まれた時期、彼が、試行錯誤で、バロック的デザインになっていた時期かも知れないと思った。
もう一つ、住宅ための椅子、後世のワックスマン社屋の家具デザインもしている。しかし、帝国ホテルやミッドウェイガーデンの椅子は、商業施設のいすであり、コマーシャリズムを意識したデザインだとすれば、ライトの中では異色であろう。
つまり、私のライトの椅子のイメージは、彼の生涯の中では、決して本流の家具デザインでは無いかもしれない。
改めて、「フランク・ロイド・ライト回顧展(1991年カタログ)」をみると、COONLEY,1 iconのハイバックにしたデザインのものが、W.マーティン邸(1903)のダイニングテーブルと椅子として紹介されていた。それもプレーリー期の装飾美術の例として。
そして、プレーリー期の椅子の頂点に立つのが、
BARREL icon
なのだと思う。
ダーウィン D.マーチン氏の家のために作ったようだが、この家もアメリカの歴史的ランドマークに指定され、今は公開されている。そのホームページで、大豪邸だったのがわかるよ。
タリアセンにある自分の居間用として12脚作らせて使用」とメーカーの解説にあるが、その居間の写真がこちら。

前出のFrank Lloyd Wright in the Realm of Ideas に掲載されていました。たぶんよく使われる写真で、よく見る感じがします。
低い部分の天井と、高い部分の天井、石のテクスチャー、2階のたぶんバルコニーも含むインテリアの水平と垂直の構成、こんな要素が存分に含まれていていかにもライトらしい。
その真ん中にこの椅子が3脚置かれている。吹き抜けの高い天井の下に、円筒形で、縦格子の椅子は、背が低いにもかかわらず、伸びやかに見える。この空間にはピッタリって感じがする。
椅子そのものだけ見ても、「ライトはこれを非常に気に入り」というだけあって、優雅な感じだよね。
円筒形の形が、そうさせているのだと思う。
それと、ディティールも繊細だと思う。手摺と背の接する部分は、半円形の部材がついていて、ちょっとしたアクセントになっている。たぶん補強って、意味もあるような気がするけどね。・・しかし、BARRELの後期のモデルにはこれは無い。より、シンプルになっているようだ。
さらに、座面のふくらみが上側だけでなく、下側にも膨らんでいて、つまり、凸レンズみたいで、UFOみたいだ。今見ても、おしゃれな感じがする。・・うーん、クッションの構造がどうなっているかも気になるのではあるが・・??
こんなことで、昨今の評価では、BARREL iconが、ライトの椅子の代表格とでも言えそうだ。

簡単に、書くつもりでしたが、改めてフランク・ロイド・ライトを勉強しちゃいました。
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リプロダクト製品??でも高価です。
フランク・ロイド・ライト/バレルチェア/イタリア- アルビア社製

フランク・ロイド・ライト/バレルチェア/イタリア- アルビア社製


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COONLEY

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ここのところ、モダニズム系の椅子ばかり取り上げて感がある。
イームズ、ヤコブセン、ベリーニ。とはいえ、最近のデザイナーの質感のそっけない椅子と違って、皮、金属、精巧、緻密さを考えると、どこか身体的というか、完全に人工的ではないぬくもりを感じるのではあるが・・
でも、より肉体的・有機的な感じの椅子を取り上げたくなった。
そう、コルビジェ、ミースとくれば、ライトしかないんじゃないか?近代の三大巨匠。・・しばらくこんな言葉聴いてないが・・。
そういえば、何で、巨匠なんだろう?
いまの超有名な建築家も、せいぜい「世界的建築家」に収まっているような・・
そうね、あえて言えば、小物・什器から、家具、インテリア、建築、ランドスケープ、そして都市計画まで、一人で考えてしまう、スーパースターといったところじゃないかな?
分業化が進み、チームによる効率化と複雑な解決法を求められている現代には、考えられないかもしれないね。
経営理論に翻弄され、いまや、建築家は、単なるチームのいちデザイナーとなってしまった。
建築家は、そうしか、生き残れないし、著名な建築家は、そののように「超一流のいち建築デザイナー」と割り切り、その結果、成功を収めてるともいえる。
アーキテクチャーは、「Archi」(主な、原.. )-「tect-ure」(技術)に分解できるから、技術のもと、「技術の統合」なんだって、習ったけど・・。いまや、アーキテクチャーって、パソコンの本体とOSの意味になってしまって、いやー、PCの箱の中にすべてが入っちまった。
でも、なんとなくつまらない箱のような建築は、分業化ゆえで、統合と想像力が建築家の使命であるとは思うのですがね・・。
そんな巨匠の中でも、一番何でもやったのがライトかもしれないね。
巨匠は、椅子から都市計画まで、何でもやった、けど、ミースとコルビジェは、ある逃げを作っていた。工業化というキーワードだ。まっすぐと繰り返しの要素を残す。
一方、ライトは、「有機的」というキーワードで、こてこてにデザインしまくったという感じだ。
もちろん近代建築の巨匠だから、空間は連続的で近代的だし、デザインも矩形とリピテーション(繰り返し)によるものだから、言葉にすると、ミースとコルビジェ同じだけど、その密度が違う。ミースとコルビジェは細胞が見えないけど、ライトは細胞が見えるって感じ。
ライトは、椅子から建築まで、ライト流の有機的イメージのデザインで、統一的にデザインした。
それだから、椅子のデザインもいっぱいあるであろう。
そこで、販売しているフランク・ロイド・ライトの椅子を探すと、・・・いやいや・・ない!!
COONLEY2 icon
1907年設計のクーンレイ邸のためにデザインした椅子

BARREL icon
1904年のダーウィン D.マーチン氏の家、1937年にハーバート・ジョンソン氏のために作られた。
ライトはこれを非常に気に入り、ウィスコンシン州のスプリンググリーン、タリアセンにある自分の居間用として12脚作らせて使用
の二つが販売・紹介されていた。
改めて、ライトの椅子って、どんなの?思って、書棚の図集見てみました。
Frank Lloyd Wright in the Realm of Ideas
こてこてに、デザインされている椅子が、並んでいる風なイメージでしたが、
なんと、
案外、すっきりしているじゃないですか。飾り気の無い、スツールの椅子が、ぽんぽんと並べられたり、シンプルな作り付けのクッション付ベンチだったりする。
Hanna House,
Lowell Walter House

やっぱり、すごく気持ちよさそう。
窓は、大きいだけでなく、ハイサイド小窓やトップライトなど、豊かに光を取り込んでいる。
ディティールも木製の枠や石・レンガのテクスチャーで味わいがある。
天井もただ平らなだけでなく、高低いろんな高さの天井があって、部屋全体が豊かな表情を見せているね。
最近の建築には忘れかけている温かみがあるね。
と、改めて、すごいーと思う。
でも、家具自体は案外シンプルじゃん?・・でもこれ、ライトの後半の、ユーソニアン・ハウスって言う平らな屋根のモダンなデザインに傾倒した時期のインテリア。
じゃ、前半のプレイリー(草原様式 Prairie Style)ハウスの時代はどうなの?
実はこの二つの椅子、この時期の椅子だったんだね。
クーンレイ邸が動画紹介されているのを見つけました。
どうも調べていると、1970年にアメリカの歴史的ランドマークに指定されている。そして、それ以前の1960年、大きな邸宅は、所有権が二つに分割されている。たぶん2棟に分かれていて分割しやすかったのもあるのだろうけど・・
(クーンレイ邸参考サイト 1(Referencesに分割のpdfあり) 2(図面等が豊富)
現在シカゴマガジンのデニス・ロドキン氏の所有のようでそれが、紹介されているようだ。

1m35sリビング
2m10sダイニング
あたりを見たが、COONLEY2 iconの椅子は今は置かれていないね。
この邸宅は、天井もあまり高く取られていなく、むしろ水平に伸びる視線を重視しているような感じもする。
するとこの背の低い椅子も、この邸宅にはあっているような感じがして、納得してしまいます。
この邸宅のデザイン自体も、重厚な感じと、ともに、特に窓にはライト独特のステンドグラスがあったり、繊細でもある。
COONLEY2 iconの全体の形状は、四角く、無骨なほどの重厚感と、一方、背もたれの格子の繊細さは、この住宅にぴったりなのかもしれません。
ま、解説するまでのなく、家具から年までデザインする巨匠の作品ですから、当然なのですが。

次へ・・)

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