MoMAストアの説明はこうだ。「パリ万国博の後、コルビュジエがジャンヌレ、ペリアンとデザインしたスリングチェア。1つの時代を象徴する名作です。MoMAのデザインコレクションとしても歴史があり、黒いレザーの座面とアームレストが特徴。背もたれが自由に動き、座る姿勢によって角度が変わるので、背中に翼が生えたような快適さです。スチールパイプを接合した骨組みには、建築的な要素を満載。ル・コルビュジエ財団の許可を得て、イタリアのカッシーナ社が製造しています。」
デティールを補足するならば、座面、背面の皮は、金属製のパイプを包み込むように、デザインされている。さらに座面・背面の皮の裏側は、皮の両端を、スプリングを介して接合されている。つまり座面・背面のフィット感は、皮自体の伸び縮みにより体へのフィット感を得るだけでなく、スプリングの伸び縮みにより、フィット感を得るという思考である。当時の近代的材料としてパイプを使うだけでなく、スプリングという実際に動く工業製品をあえて用いる、モダニスト・コルビジェのディティールとなっている。
ところで、実際に座ってみると、本当にこのスプリングが利いているのかは、怪しい。皮の伸びの影響が大きいようにも思える。これもコルビジェ的?
さらに、コルビジェ全集を紐解いてみると、はじめて出てくるのが1928-29年のVille...