COONLEY2
ここのところ、モダニズム系の椅子ばかり取り上げて感がある。
イームズ、ヤコブセン、ベリーニ。とはいえ、最近のデザイナーの質感のそっけない椅子と違って、皮、金属、精巧、緻密さを考えると、どこか身体的というか、完全に人工的ではないぬくもりを感じるのではあるが・・
でも、より肉体的・有機的な感じの椅子を取り上げたくなった。
そう、コルビジェ、ミースとくれば、ライトしかないんじゃないか?近代の三大巨匠。・・しばらくこんな言葉聴いてないが・・。
そういえば、何で、巨匠なんだろう?
いまの超有名な建築家も、せいぜい「世界的建築家」に収まっているような・・
そうね、あえて言えば、小物・什器から、家具、インテリア、建築、ランドスケープ、そして都市計画まで、一人で考えてしまう、スーパースターといったところじゃないかな?
分業化が進み、チームによる効率化と複雑な解決法を求められている現代には、考えられないかもしれないね。
経営理論に翻弄され、いまや、建築家は、単なるチームのいちデザイナーとなってしまった。
建築家は、そうしか、生き残れないし、著名な建築家は、そののように「超一流のいち建築デザイナー」と割り切り、その結果、成功を収めてるともいえる。
アーキテクチャーは、「Archi」(主な、原.. )-「tect-ure」(技術)に分解できるから、技術のもと、「技術の統合」なんだって、習ったけど・・。いまや、アーキテクチャーって、パソコンの本体とOSの意味になってしまって、いやー、PCの箱の中にすべてが入っちまった。
でも、なんとなくつまらない箱のような建築は、分業化ゆえで、統合と想像力が建築家の使命であるとは思うのですがね・・。
そんな巨匠の中でも、一番何でもやったのがライトかもしれないね。
巨匠は、椅子から都市計画まで、何でもやった、けど、ミースとコルビジェは、ある逃げを作っていた。工業化というキーワードだ。まっすぐと繰り返しの要素を残す。
一方、ライトは、「有機的」というキーワードで、こてこてにデザインしまくったという感じだ。
もちろん近代建築の巨匠だから、空間は連続的で近代的だし、デザインも矩形とリピテーション(繰り返し)によるものだから、言葉にすると、ミースとコルビジェ同じだけど、その密度が違う。ミースとコルビジェは細胞が見えないけど、ライトは細胞が見えるって感じ。
ライトは、椅子から建築まで、ライト流の有機的イメージのデザインで、統一的にデザインした。
それだから、椅子のデザインもいっぱいあるであろう。
そこで、販売しているフランク・ロイド・ライトの椅子を探すと、・・・いやいや・・ない!!
COONLEY2
1907年設計のクーンレイ邸のためにデザインした椅子
と
BARREL
1904年のダーウィン D.マーチン氏の家、1937年にハーバート・ジョンソン氏のために作られた。
ライトはこれを非常に気に入り、ウィスコンシン州のスプリンググリーン、タリアセンにある自分の居間用として12脚作らせて使用
の二つが販売・紹介されていた。
改めて、ライトの椅子って、どんなの?思って、書棚の図集見てみました。
Frank Lloyd Wright in the Realm of Ideas
こてこてに、デザインされている椅子が、並んでいる風なイメージでしたが、
なんと、
案外、すっきりしているじゃないですか。飾り気の無い、スツールの椅子が、ぽんぽんと並べられたり、シンプルな作り付けのクッション付ベンチだったりする。
Hanna House,
Lowell Walter House
やっぱり、すごく気持ちよさそう。
窓は、大きいだけでなく、ハイサイド小窓やトップライトなど、豊かに光を取り込んでいる。
ディティールも木製の枠や石・レンガのテクスチャーで味わいがある。
天井もただ平らなだけでなく、高低いろんな高さの天井があって、部屋全体が豊かな表情を見せているね。
最近の建築には忘れかけている温かみがあるね。
と、改めて、すごいーと思う。
でも、家具自体は案外シンプルじゃん?・・でもこれ、ライトの後半の、ユーソニアン・ハウスって言う平らな屋根のモダンなデザインに傾倒した時期のインテリア。
じゃ、前半のプレイリー(草原様式 Prairie Style)ハウスの時代はどうなの?
実はこの二つの椅子、この時期の椅子だったんだね。
クーンレイ邸が動画紹介されているのを見つけました。
どうも調べていると、1970年にアメリカの歴史的ランドマークに指定されている。そして、それ以前の1960年、大きな邸宅は、所有権が二つに分割されている。たぶん2棟に分かれていて分割しやすかったのもあるのだろうけど・・
(クーンレイ邸参考サイト 1(Referencesに分割のpdfあり) 2(図面等が豊富))
現在シカゴマガジンのデニス・ロドキン氏の所有のようでそれが、紹介されているようだ。
1m35sリビング
2m10sダイニング
あたりを見たが、COONLEY2 の椅子は今は置かれていないね。
この邸宅は、天井もあまり高く取られていなく、むしろ水平に伸びる視線を重視しているような感じもする。
するとこの背の低い椅子も、この邸宅にはあっているような感じがして、納得してしまいます。
この邸宅のデザイン自体も、重厚な感じと、ともに、特に窓にはライト独特のステンドグラスがあったり、繊細でもある。
COONLEY2 の全体の形状は、四角く、無骨なほどの重厚感と、一方、背もたれの格子の繊細さは、この住宅にぴったりなのかもしれません。
ま、解説するまでのなく、家具から年までデザインする巨匠の作品ですから、当然なのですが。
(次へ・・)
COONLEY2
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ここのところ、モダニズム系の椅子ばかり取り上げて感がある。
イームズ、ヤコブセン、ベリーニ。とはいえ、最近のデザイナーの質感のそっけない椅子と違って、皮、金属、精巧、緻密さを考えると、どこか身体的というか、完全に人工的ではないぬくもりを感じるのではあるが・・
でも、より肉体的・有機的な感じの椅子を取り上げたくなった。
そう、コルビジェ、ミースとくれば、ライトしかないんじゃないか?近代の三大巨匠。・・しばらくこんな言葉聴いてないが・・。
そういえば、何で、巨匠なんだろう?
いまの超有名な建築家も、せいぜい「世界的建築家」に収まっているような・・
そうね、あえて言えば、小物・什器から、家具、インテリア、建築、ランドスケープ、そして都市計画まで、一人で考えてしまう、スーパースターといったところじゃないかな?
分業化が進み、チームによる効率化と複雑な解決法を求められている現代には、考えられないかもしれないね。
経営理論に翻弄され、いまや、建築家は、単なるチームのいちデザイナーとなってしまった。
建築家は、そうしか、生き残れないし、著名な建築家は、そののように「超一流のいち建築デザイナー」と割り切り、その結果、成功を収めてるともいえる。
アーキテクチャーは、「Archi」(主な、原.. )-「tect-ure」(技術)に分解できるから、技術のもと、「技術の統合」なんだって、習ったけど・・。いまや、アーキテクチャーって、パソコンの本体とOSの意味になってしまって、いやー、PCの箱の中にすべてが入っちまった。
でも、なんとなくつまらない箱のような建築は、分業化ゆえで、統合と想像力が建築家の使命であるとは思うのですがね・・。
そんな巨匠の中でも、一番何でもやったのがライトかもしれないね。
巨匠は、椅子から都市計画まで、何でもやった、けど、ミースとコルビジェは、ある逃げを作っていた。工業化というキーワードだ。まっすぐと繰り返しの要素を残す。
一方、ライトは、「有機的」というキーワードで、こてこてにデザインしまくったという感じだ。
もちろん近代建築の巨匠だから、空間は連続的で近代的だし、デザインも矩形とリピテーション(繰り返し)によるものだから、言葉にすると、ミースとコルビジェ同じだけど、その密度が違う。ミースとコルビジェは細胞が見えないけど、ライトは細胞が見えるって感じ。
ライトは、椅子から建築まで、ライト流の有機的イメージのデザインで、統一的にデザインした。
それだから、椅子のデザインもいっぱいあるであろう。
そこで、販売しているフランク・ロイド・ライトの椅子を探すと、・・・いやいや・・ない!!
COONLEY2
1907年設計のクーンレイ邸のためにデザインした椅子
と
BARREL
1904年のダーウィン D.マーチン氏の家、1937年にハーバート・ジョンソン氏のために作られた。
ライトはこれを非常に気に入り、ウィスコンシン州のスプリンググリーン、タリアセンにある自分の居間用として12脚作らせて使用
の二つが販売・紹介されていた。
改めて、ライトの椅子って、どんなの?思って、書棚の図集見てみました。
Frank Lloyd Wright in the Realm of Ideas
こてこてに、デザインされている椅子が、並んでいる風なイメージでしたが、
なんと、
案外、すっきりしているじゃないですか。飾り気の無い、スツールの椅子が、ぽんぽんと並べられたり、シンプルな作り付けのクッション付ベンチだったりする。
Hanna House,
Lowell Walter House
やっぱり、すごく気持ちよさそう。
窓は、大きいだけでなく、ハイサイド小窓やトップライトなど、豊かに光を取り込んでいる。
ディティールも木製の枠や石・レンガのテクスチャーで味わいがある。
天井もただ平らなだけでなく、高低いろんな高さの天井があって、部屋全体が豊かな表情を見せているね。
最近の建築には忘れかけている温かみがあるね。
と、改めて、すごいーと思う。
でも、家具自体は案外シンプルじゃん?・・でもこれ、ライトの後半の、ユーソニアン・ハウスって言う平らな屋根のモダンなデザインに傾倒した時期のインテリア。
じゃ、前半のプレイリー(草原様式 Prairie Style)ハウスの時代はどうなの?
実はこの二つの椅子、この時期の椅子だったんだね。
クーンレイ邸が動画紹介されているのを見つけました。
どうも調べていると、1970年にアメリカの歴史的ランドマークに指定されている。そして、それ以前の1960年、大きな邸宅は、所有権が二つに分割されている。たぶん2棟に分かれていて分割しやすかったのもあるのだろうけど・・
(クーンレイ邸参考サイト 1(Referencesに分割のpdfあり) 2(図面等が豊富))
現在シカゴマガジンのデニス・ロドキン氏の所有のようでそれが、紹介されているようだ。
1m35sリビング
2m10sダイニング
あたりを見たが、COONLEY2 の椅子は今は置かれていないね。
この邸宅は、天井もあまり高く取られていなく、むしろ水平に伸びる視線を重視しているような感じもする。
するとこの背の低い椅子も、この邸宅にはあっているような感じがして、納得してしまいます。
この邸宅のデザイン自体も、重厚な感じと、ともに、特に窓にはライト独特のステンドグラスがあったり、繊細でもある。
COONLEY2 の全体の形状は、四角く、無骨なほどの重厚感と、一方、背もたれの格子の繊細さは、この住宅にぴったりなのかもしれません。
ま、解説するまでのなく、家具から年までデザインする巨匠の作品ですから、当然なのですが。
(次へ・・)
COONLEY2