LC1アームチェア

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MoMAストアの説明はこうだ。「パリ万国博の後、コルビュジエがジャンヌレ、ペリアンとデザインしたスリングチェア。1つの時代を象徴する名作です。MoMAのデザインコレクションとしても歴史があり、黒いレザーの座面とアームレストが特徴。背もたれが自由に動き、座る姿勢によって角度が変わるので、背中に翼が生えたような快適さです。スチールパイプを接合した骨組みには、建築的な要素を満載。ル・コルビュジエ財団の許可を得て、イタリアのカッシーナ社が製造しています。」
デティールを補足するならば、座面、背面の皮は、金属製のパイプを包み込むように、デザインされている。さらに座面・背面の皮の裏側は、皮の両端を、スプリングを介して接合されている。つまり座面・背面のフィット感は、皮自体の伸び縮みにより体へのフィット感を得るだけでなく、スプリングの伸び縮みにより、フィット感を得るという思考である。当時の近代的材料としてパイプを使うだけでなく、スプリングという実際に動く工業製品をあえて用いる、モダニスト・コルビジェのディティールとなっている。
ところで、実際に座ってみると、本当にこのスプリングが利いているのかは、怪しい。皮の伸びの影響が大きいようにも思える。これもコルビジェ的?
さらに、コルビジェ全集を紐解いてみると、はじめて出てくるのが1928-29年のVille d'Avreyのインテリアに出てくる。ここで、よーく見てみると、座面・背面は今のようなディティールになっていない。普通に板を皮で包み込み、座面は両端のパイプが見えるように置かれている。コルビジェといえども、今のモデルは、初めから完全な形で、出てきたんじゃないんですね・・て、ちょっと発見がありました。ところで、例によって押野見邦英氏の「インテリアウォッチング」をみると、コルビジェの椅子には、アイリーン・グレイ女史の影響が大だという。そして、LC1 icon ということで、イタリアのカッシーナ社以外の製品は、リプロダクト製品となる。カッシーナ社では、黒革以外にも下の写真のような「仔牛毛皮(白黒茶混)」のものもある。こちらの方が、少しエロチックでゴージャスに見える。でも、座面の前側は、使用を重ねると、毛が取れるので、チョイと注意。そんなの気にしませんという方は、どうぞ。
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